実家を出ることに罪悪感

実家を出て一人暮らししたいけど、親を残して出ていくことに罪悪感があり踏み切れずにいます

実家暮らしの女性で、
一人暮らししたいけど、
親を残して、家を出ていくことに対して、
罪悪感があり、なかなか踏み切れない。

特に、母親と二人暮らしの女性から、
このような悩みをよく聴きます。

私が家を出ていったら、
お母さんが寂しがるだろう。

私が家を出ていったら、
お母さんは一人になってしまう。

毎日、一人で晩ごはんを食べる
お母さんを想像すると、
いたたまれない。

かと言って、
一緒に暮らしていると、
母親に対してイライラすることが多く、
ついつい、きつい物言いになってしまうことがある。

そもそも、このまま一生、
この家で母親と二人で暮らすのかなと思うと、
マジでゾッとする。

だけど、このまま私がずっと独身で、
老後を迎えたら、
お母さんを老々介護することになるのかも。

母親に家事全般をしてもらってる、
今の私のままだと、
結婚は難しいかもな。。。

そういうことを考えると、
離れた方がいいと思う。

母親も、どんどん齢を取っていくし、
そうなれば、もっと家を出づらくなる。

だったら、さっさと家を出ればいい、
出なきゃと思うけど、
母親の顔を見ると、
やっぱり一人暮らしに踏み切れない。

こんな独り言にも似た悩みを
時折、セラピーの現場でも聴く度に、
相談者の方が大きな葛藤の中に
いらっしゃるのを感じます。

自分の幸せを取るか?親の幸せを取るか?

家を出て、新しい生活を始めたい

そんな欲求の背景には、
親元を離れて、自由に生きたい、
自分の手で自分の人生を切り開きたい
そんな想いがあることでしょう。

一方、
親を残して、家を出ることに罪悪感がある
という思いの背景には、
親を幸せにしたい、
人によっては、親の面倒を見ないといけない
そんな想いがあるのでは?と思います。

相談者さんのお話を聴いていると、
なんだか、
自分の幸せを取るか?
親の幸せを取るか?
二つに一つしか選べない。

そんな切羽詰まった状況に、
自分がいらっしゃると感じているような、
そんな印象を受けます。

一度きりしかない
あなたの人生なのだから、
思い切り好きに生きたらいいじゃない。

どんな親も子どもの幸せを願っているのだから、
あなたが幸せなら、お母さんも幸せなはず。

そんな言葉をかけても、
それができたら悩まへんわい!
という感じですよね(笑)

今日は上記のような悩みを抱えた女性が、
そのジレンマを乗り越えるヒントとなる提案を
私が思いつく限りしていきますね。

実のところ、寂しいのは自分自身なのでは?

いきなり、辛口発言で
ごめんなさい。

これね、私の体験から言ってます。

私自身は、母親と二人暮らしではなかったけど、
過干渉で、お小言ばかりの母親が
たまらなく嫌で嫌で、
早く家を出たい、
家を出て一人暮らしをしたら、
どんなにか、せいせいして、
自由、気ままに、
人生を楽しむことができるだろう!と
小さい頃から、常々思っていました。

だけど、実際、一人暮らししてみたら、
全く人生を楽しめない私がいました。

長い話を短くすると、
実際、一人暮らししてみたら、
自分に自信というものが全然なくて、
人と、どう接していいか?
分からない自分がいたんですね。

この話は、別のブログに詳しく書いていますので、
もしよかったら読んでみてください。

恋愛や性的なことに罪悪感があり、
特に親に対してものすごく悪いことをしている気持ちになります
※目次の「親離れにつまずいた私の体験談」をクリックしてください。

お母さんを一人残していくのが、
いたたまれない。

そう思う気持ちの裏側には、
お母さんと離れて、
この世界に、この社会に、
一人出ていくことへの不安や怖さ、
引いては、
自信のなさがあるのではないでしょうか?

もし私の問いかけに、
何かざわっとしたり、ドキッとしたら、
その感覚と少し一緒に居て、
ご自分と対話してみてもらえたらなあと思います。

お母さんの幸せは、お母さんの責任
自分の幸せは、自分の責任

自分が家を出ることで、
お母さんが一人暮らしになる。

そのことに罪悪感を持つ。

それって、お母さんの人生に、
お母さんの幸せに、
相談者さんが責任を取ろうとしている。

そんな風に、私には思えます。

確かに、家族は支えあって、
助け合って生きていく。

それができたら、
一番良いと私も思います。

だけど、相談者さんとお母さんの関係性を見ていると、
それって、本当に助け合い?支えあい?って思うんですよね。

またまた辛口発言、ごめんなさい。

お母さんは、一人の立派な大人です。

お父さんがアル中で、DV男だったとか、
虐待的な辛い幼少期を過ごしたとか、
身体が弱いとか、
女手一つで必死になって働いて、
自分を育ててくれたとか、
もしくは、
逆に相談者さんに辛い仕打ちをしたとか、
いろんな歴史や背景があることかと思います。

だけど、お母さんの幸せは、
お母さんの責任です。

お母さんが、
どんなに大変な人生を送ってきたとしても、
お母さんを幸せにするのは
お母さんしかいません。

大人になるって、
大人であるって、
そういうことです。

私に、そう言われたら、
相談者の方は、
きっとすごく複雑な気持ちになるでしょう。

そうは言うけど、
お母さんが、私に向かって、
お母さんを助けなさい!とか、
お母さんを支えて。。。とか言うんだもの。

とか、

だって、お母さんが可哀そうに思えて
仕方ないんだもん。

とか、きっと言いたくなるのでは?

ちなみに、私の母親は、
私に向かって、
お母さんを幸せにすべきだ!と
迫ってくる人でした。

ちょっときついかもですが、
これって、
母と子が逆転している関係性なんです。

大変な状況に置かれた母親が、
娘に依存して、
親と子が逆転するというのは、
結構よくある現象です。

子どもは、親が大好き、
親をものすごく愛してますから、
親を助けたいし、
親を幸せにしたいと思います。

だけど、そう思っても、
どうにもできない、
どうしたってできません。

だって、子どもだから。

本来、子どもは、
親に、もしくは養育者に守られて、
大人になっていくものですから。

なので、
お母さんの幸せは、
お母さんの責任ということを
理解し受け入れるためには、
自分が子どもとして求めて与えられて、
当然だったものがなかった、、、という
怒りや恨み、悲しみに向き合う必要が
出てくるかもしれませんね。

私自身、ここを乗り越えるのが、
なかなかハードで、
何年も、それこそ10年以上かけて、
この怒りや恨み、悲しみに向き合ってきました。

でもね、この作業には救いがありました。

お母さんの人生を
お母さんに返した時、
私の人生は完全に私のもとに返ってきたのです。

お母さんと自分の間に境界線を引く

少しずつお母さんと自分の間に
境界線を引いていく。

ここから始めるのが良いのでは?と思います。

土地や建物に境界線があるように、
心や体にも境界線があります。

他人の感情、反応は、
自分のコントロール外にあり、
自分は100%責任を取らなくていいのです。

もしかしたら、
これに関して、
ピンと来ない方も多いかもしれません。

だって、私がしたことで、
もし相手が怒ったら、
それって私の責任じゃないの?

そんな風に思う方も多いと思います。

日本は、特に、
相手の気持ちを気遣う、
相手の気持ちを思いやることが、
尊ばれる文化ですしね。

こう言ったら、
分かりやすいかも。

自分が言ったこと、したことに対して、
相手が、どう反応するか?
そのことすべてに対して、自分が
責任を取ろうとするのは無理。

そりゃ、
これを言ったら、
失礼だよな、
相手は傷つくよな。。。って、
分かりきっていることもあります。

だけど、自分が言ったこと、したことで、
相手から思いもよらぬ反応が返ってくることも、
多々あるでしょう。

相手の反応すべてに、
自分が責任を取っていたら、
自分の人生を生きるスペースが、
全くなくなってしまいます。

また、他人が何気なく言ったこと、したことで、
ものすごく腹が立つとか、傷つくとかと言うことも
経験したことがあるのでは?

その時、いちいち相手のせいにしていたら、
自分の感情に、
引いては、
自分の人生に責任を取るということが
できなくなってしまいます。

なので、他人の感情と自分の感情を分け、
自分の感情、反応に責任を取る。

これが大事かなと思います。

前置きが長くなってしまいました。

お母さんと自分の間に
境界線を引くという話でした。

こんなアファメーションを唱えてみるのは、
どうでしょう?

私は私、お母さんはお母さん

その言葉が、段々自分になじんできたら、

お母さんの人生はお母さんのもの
私の人生は私のもの

とか

お母さんの感情はお母さんのもの
私の感情は私のもの

とか

お母さんの寂しさはお母さんのもの
私の寂しさは私のもの

とか

バリエーションを変えて唱えてみてください。

罪悪感を持つメリット

これまた辛口なのですが、
罪悪感を持つメリットって何だと思いますか?

いやね、私も含めて人間って、
なんかメリットがあることでないと、
続けないと思うのです。

例えば、
タバコだって、
肺がんのリスクはじめ健康を害すること、
タバコの煙が周りの人の害になること、
タバコ代がかかること、
などなど、
様々なデメリットがありますが、
吸うとホッとすると言うメリットがあるから、
タバコを吸い続けるわけです。

だったら、罪悪感を持つことにも、
メリットがあるかと思います。

じゃあ、罪悪感を持つメリットって
なんだと思いますか?

罪悪感を持つメリット、
それは「自分には力がある」
引いては「自分には価値がある」
という感覚を持てることだと思います。

少し長いですが、
『心的外傷と回復』という本から、
罪悪感についての記述を引用します。

罪悪感とは、
災厄から何らかの有益な教訓を引き出し、
力とコントロールとの感覚を
いくらかでも取り戻そうとする試みであると
解することができるのかもしれない。

もう少しうまくやれたのに残念だと空想してみることは、
自分は全く手の打ちようがなかったという、
完全な孤立無援感に直面するよりも
まだマシかもしれないのである。

心的外傷と回復 79ページより引用
(ジュディス・ハーマン著 みすず書房)

漢字が多い硬い文章なので、
あまり頭に入ってこなかった。。。
と言う人も多いかもしれません。

要約するとね、

自分はその事態に対して、
できることがあったのに、
それをしなかった、
そんな自分はダメだ、悪い
(つまり、これが罪悪感ですね。)と思うことで、
自分には力があると思える。

そう思えることは、
自分は全くの無力だったと感じるより、
まだ堪えられる。

ということを、
ジュディス・ハーマンさんは仰ってます。

※罪悪感を見ていく時の切り口って、
いくつかあって、
上記とは別の切り口を
こちらの記事で取り上げていますので、
参考になさってください。

◇私は人を好きになる資格がない、
私に好きになられても迷惑だろうという気持ちが強く、
一生恋愛は無理かなと思ってしまいます

母親を一人残して、家を出ることで、
母親に罪悪感を持つって、
今挙げたことが関わってきているのでは?って
私は思うんです。

つまりね、罪悪感を持つことで、
自分は力があると思える。
力があると思えることで、
自分には価値があると思える。

ちょっと、いやかなり辛いと思うのですが、
その可能性に開いてみて欲しいんです。

前の章でも伝えたように、
私の母親というのは、
母親は、私に安心感をくれるというより、
いつも私に安心感を求めてくる人でした。
そんなところがありました。

自分は人に何かを与えて、
やっとこの世に存在できる
それくらい価値がない人間だ

と長い間、誤解をしていました。

私は人様にボランティアして、
人様にサービスして、
やっと一人前になれる。

私はそんな人間だと、自分のことを思っていました。

かつ、周りの人を助けることができなかった時は、
すごく罪悪感を持っていました。

そう、自分の無価値観や無力感と向き合うより、
罪悪感を持って自分を責めた方が、
まだマシだったんですよね。

罪悪感を持つメリットについて、
延々と語ってしまいましたが、
この件に関しては、
罪悪感を持つメリットって、
ゼロです。

ゼロと言うよりマイナスです。

もちろん、
何か悪いことをしてしまった時、
例えば、
不注意で他人の大事なものを壊してしまった時、
罪悪感を持つ。

これはまっとうな理由がある罪悪感です。

ですが、自分が一人暮らしをして、
結果、お母さんが一人暮らしになることに対して、
罪悪感を持つというのは、
何一つまっとうな理由がないです。

相談者さんは、何も悪くないです。

私にそんな風に言われても、
なかなか実感がわかないかもしれませんね。

この手の罪悪感は、
まるで自分の皮膚のように、
自分の一部と化している場合が
ほとんどですから。

罪悪感を手放すアファメーション

まずは罪悪感を持ちながら生きてきた自分をねぎらう

最初は、こんな言葉を自分にかけて、
自分をねぎらってあげるのは、
どうでしょう?

この罪悪感の中で、よく生きてきた。

もう十分、自分を責めた。
もう終わりにしていい。

罪悪感という感情は、
本当に強力なので、
このアファメーションを
何回も何回も、
それこそ一日1000回くらい
唱えてみてください。

そして最低でも3か月は続けてみてください。

このアファメーションがなじんできたら、
私は悪くない
これを何回も何回も唱えてみてください。

以上、ご参考になれば幸いです。

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