虚しさを解消する

虚しさ(空しさ)への処方箋~虚無感、私の人生、何だったんだろうという想いの下にあるもの

私のブログの中で、
一番読まれている記事が

◇自分の人生は無意味だなと思い、
早く人生を終わらせたいと思っている40代独身女性へ

なのですが、
この記事がこれだけ
たくさんの方に読んで頂けるというのは、
多くの人が虚しいという感情を
抱えていらっしゃるのかな・・・と思います。

そんなことを踏まえて、
今日は虚しさ、空しさ、虚無感に対する
処方箋を伝えていきます。

虚しいってどういうこと?

そもそも虚しい(空しい)とは、
どんな感覚、感情でしょう?

辞書を引いてみると、

1 そこを満たしているべき内容が見られないこと
(例)虚しい作文に過ぎない、空しく五年を費やした

2 せっかく努力をしても、報いられる所が無い、薄い
(例)虚しい人生だった

とあります。

現代風に言うと、
『行動や存在が無意味な感じ、ムダな感じ』
『中身がなくて、空っぽな感じ』でしょうか。

人生が虚しいと言うのは、
生きていても意味がない感じ、
生きていることに中身なんかない感じ、
そんな風にも表現できます。

40代、50代の独身女性から、よく聴くのは、

親が死んで一人ぼっちになったら、
私が死んで悲しむ人は誰もいない。

私の存在なんか意味がない。

そんな声です。

その自分の存在には意味がない、
自分の人生には中身がないという感覚は、
まさに虚無感、虚しさなんでしょうね。

独身だから、子どもがいないから、
人生が虚しいの?

◇自分の人生は無意味だなと思い、
早く人生を終わらせたいと思っている40代独身女性へでは、
独身で子どもがいない女性に焦点を当てて、
そのような境遇にいる方たちから
よく伺う虚しさについての
処方箋を書いています。

だけど独身で子どもがいないから、
人生が虚しいのか?
結婚していて、子どもがいれば、
人生は虚しくないのか?というと、
どうやらそうでもないらしいのです。

結婚していて、子どもがいて、
経済的にも恵まれている女性たちからも、
虚しい、私の人生、何だったんだろう。。。
という声を聴くことがよくあります。

ある方は、こんな風に仰っていました。

*********

私は今までの人生、自分がこうしたいと言うより、
こうした方がラク、こうした方が波風が立たない、
という受け身で生きてきた、

ダンナも子どももいるけど、
自分でこうしたいと思って、何かをすることなしに、
このまま年を取って死ぬかと思うと、
私の人生何だったんだろう・・・と思って、
虚しくて苦しくてたまらない、、、

*********

実際、この方以外でも、
結婚していて子どももいる、
周りから見て、順風満帆な家庭があるという方から、
結構な割合で
「日常の中で虚しさを感じる」という話を聴きます。

また男性からも、よく聴きます。

例えば、有名大学を出て、
一部上場企業で役員をしているような方からも、
人生が虚しいという話を聴いたことがあります。

虚しいという感覚はどこからくるの?

結婚していても いなくても虚しい、
子どもがいても いなくても虚しい、
会社で高い地位についていても いなくても虚しい。。。

一体、虚しいという感覚は、
どこからきているのでしょう?

たくさんの方から虚しさにまつわるお話を伺った経験、
自分自身が、長い間虚しさを抱えてきた経験を踏まえて言うと、
虚しさは自分が自分とつながって生きているかどうか?ということと
深く関係していると思います。

そうだな、もっと言うと、
人は、自分が本当の思い、願いとのつながりを失った時、
虚しさを感じるようなのです。

自分自身のことを振り返ってみると、
私が長い間、強い虚しさを感じていたのは、
小さい頃から、良い子をしてきたことが原因でした。

自分がどうしたいか?というより、
親が、周りが自分にどうして欲しいか?
そこに合わせて生きてきた。

その結果、自分の好きなこと、嫌いなこと、
自分がやりたいこと、やりたくないことが
分からなくなってしまい、
それが人生は無意味、人生が虚しいという感覚を生んだ。

そんな風に思います。

やりたいことが分からなくて、さらに虚しくなる

じゃあ、虚しいという感覚を解消するためには、
自分の好きなこと、やりたいことを知って、
それをやっていけばいい。

そんな風に誰しもが考えるでしょうが、
それがなかなか難しい。

虚しいという感覚に人が悩む時、
そもそも、自分のやりたいこと、好きなこと、
つまり自分の欲望というものが
分からなくなっているのです。

自分自身、虚しさに苛まれて
苦しかった時期を思い返すと、
時間も、お金もあるし、
やりたいことをやればいいと
頭では分かっているけど、
自分が本当に何をしたいのかが分からない。

自分のやりたいこと、
自分が満たされることを
見つけようとしても、
まるで魚のいない釣り堀に
釣り針をたらしているような感じで、
何も引っかかってこない、
何もピンと来ない、
そんなもどかしさを感じていました。

そして、そのことがまた、
何をやっても意味がない、
何をやっても満たされないという感覚を生み、
さらに虚しさを深めていくということがありました。

虚しいという感覚に苛まれ苦しむ方は、
自分のやりたいこと、
自分が満たされることが
分からない。。。
そんな想いがつらいという方も多いですね。

空虚感を紛らわそうとして強い刺激を追い求める人もいる

空虚感に苛まれる方は、
虚しさのつらさを紛らわそうとして、
強い刺激を追い求めるという方も多いです。

再び、私の例なのですが、
私の場合はそれが過食することだったり、
資格取得のための勉強に頑張ることだったり、
長時間のきつい運動を毎日することだったりしました。

これ以外にも、
夜な夜な飲み歩いて騒ぐことだったり、
長時間カラオケで歌うことだったり、
恋愛にハマることだったり、
アイドルにハマることだったり、
様々なことをして、
人は空虚感のつらさをまぎらわそうとしています。

なぜ、自分の欲望が分からなくなるのでしょう?

精神科医の齋藤学氏は、その著書・
「自分のために生きていける」ということ
~寂しくて、退屈な人たちへ~の中で、
こんな風に書いています。

Q 自分の気持ち、自分の欲望が、
なぜわからなくなってしまうのでしょうか?

○「愛されて当然」という素朴な自己確信を持てるか

人間が健康な発達をとげて成長すれば、
自然な欲望を持ち、それを満たすように行動するという、
人間らしい生活を送れるはずです。

しかし現代は、欲望を知らない「ロボット」人間になっている人があまりにも多い。
ロボット人間は、自分では何をどうしたらいいのかわからないので、
世間の基準に合わせたり、他人の欲望を満たすために行動したり、
「これがよい」といってもらえるモデルをほしがります。

なぜ、人間は生まれながら、ロボットになってしまうのでしょうか?

(中略)

子供は、生まれたとき、全く無力です。
親に依存し、親との関係に適応しなければ生きていけません。
たとえその関係がどんなにゆがんだものであっても、
生きていくためには生まれた家族に適応しなければならないのです。

そこで子供は、「親に適応した自分」を形づくっていきます。
親の期待を読み取りとり、親の気に入るように振る舞うのですが、
特に重要なのが母親との関係です。

乳幼児と母親との関係は、
他のどんな人間関係よりも濃厚です。

母親は、自分の子供を誰よりもかわいいと思い、
さまざまな思いや期待を託しています。

子どもが泣けば、その意味をくみとり、言葉をかけます。

乳幼児は、ただ一方的に母親に世話をされて生きていくのです。

子供は、こうして、無条件に「愛されて当然」の自分、
「大切にされている」自分のイメージをつくりあげていきます。

(中略)

ところが、なかには、
自分に対して肯定的な感情を持てずに育ってしまう子供もいます。

親から、健康な自己愛を育てる感情を与えられない場合があるのです。

(中略・拒絶された子供の例、ほめられ過ぎた子供の例)
拒絶されて育った子供は、
自分に対する確信が持てず、
「自分はダメなのだ」と思うようになる。

子供が何をしてもほめそやかし、かわいがり、甘やかした場合も、
健康な自己愛は育たない。
いつもほめられることになれている子供は、
たまたま親が普通の態度で接すると、拒絶されたように感じる。

(中略)

健康な自己肯定感が持てない人の場合、
「理想の自己」は、とてつもなく完璧で実現不可能な理想となります。

しかも、その理想に向かう気持ちが自発的とはいえず、
親や誰かの期待にそうべく努力しています。

自分の欲望ではなく、
親の欲望を読みとってつくられた
「偽りの自己」を生きてしまうのです。

齋藤学著・
「自分のために生きていける」ということ
~寂しくて、退屈な人たちへ~
78-84ページより引用

齋藤先生、非常に平易な分かりやすい言葉で、
現代人が自分の欲望を失っていく過程を示してくれています。
※昔、私は彼のクライアントでしたので、
齋藤先生という言い方になってしまいました。

齋藤先生の文章を要約すると、
チャイルドが栄養不足だと、
他人に認められたい、他人から愛されたいと、
だから他人の期待を満たさないと!という気持ちが
先走ってしまい、
なかなか自分軸で生きることができない
ということです。

いやはや、自分の過去の経験を照らし合わせても、
クライアント様から聴いた話を照らし合わせても、
まさにそうだなあと思います。

自分の欲望を取り戻し、虚しさを解消していくには?

インナーチャイルドと出会い、育て直す

齋藤氏は、
窒息しかかっているインナーチャイルドと出会い、
その子の親となり、育て直しましょう。
著書の中で書いています。

育て直しのプロセスを推奨されているのです。

これには、私も全く同意しますが、
ただインナーチャイルドワークをする時、
気を付けて欲しいことがあります。

下記の記事に詳しく書いたのですが、
インナーチャイルドを受け止め抱える大人の自分を
しっかり作ってから、
インナーチャイルドワークに入るということです。

◇インナーチャイルドを癒す、
インナーチャイルドワークをする、
その時に気を付けて欲しいこと

インナーチャイルドを抱える大人の自分ができてない時点で、
インナーチャイルドワークをすると、
インナーチャイルドに乗っ取られ、
ますます具合が悪くなってしまうのです。

過去、そういう方に何人も出会ってきました。

強烈な虚しさを感じているという方は、
インナーチャイルドがかなりの栄養不足に陥っていますから、
そのインナーチャイルドを受け止める大人の自分が育ってない方
というのがほとんどです。

なので、いきなりのインナーチャイルドワークは
むしろ癒しどころか危険です。
お勧めしません。
※強調したいので太字・デカ字。

インナーチャイルドワークが困難な場合もある

小さい頃のトラウマが大きい場合、
当時のことを全く覚えてない、
ほとんど記憶がないという方もいらっしゃいます。

また、記憶はあるけれども、
当時の自分の感情がよく分からないという方も
いらっしゃいます。

これは、あまりに苦痛が大きいため、
まともにそれを感じたら自分が壊れてしまうので、
自分の心を守るため、
苦痛を感じた時の自分を切り離しているからです。
心理学的には解離と言います。

まるでトカゲが自分のしっぽを切り離してしまうように、
心の一部を切り離してしまうんですね。

※この解離というのは、
人間の知恵の極みのような防衛システムで、
多かれ少なかれ、
ほとんどの人がこの防衛システムを使って、
生き延びています。

このような場合、
インナーチャイルドワークは難しいかと思います。
というか、無理です、できません。

私自身、解離症状がひどかったのですが、
当時はインナーチャイルドワークができませんでした。

このような場合、どうしたらいいのか?
次の章で伝えていきます。

トータルな自分を他者に受容されるという経験は虚しさを癒す

私のお勧めは、
最初は安心安全を感じることができる誰かに、
全面的に受け止めてもらうという体験をすること。

まずは誰かから心の栄養をもらうこと。

私自身、20代後半から30代にかけて
つながっていたカウンセラーさんには、
ひたすら話を聴いてもらい、
自分という存在そのものを受け止めてもらいました。

良い子の自分も、そうでない自分も、
何のジャッジメントもなく、
トータルな自分をただただ受け止めてもらう、
カウンセラーに好かれるための話ではなく、
自分が本当に話したい話を聴いてもらう。
そんな体験をその時しました。

この体験が、私にとって、
自分のインナーチャイルドと出会う体験となりました。

カウンセラーという受け皿があってこそ、
私には、それができたんですよね。

カウンセラーは当時の私にとって、
代理母でした。

そのカウンセラーが素晴らしかったところは、
代理母をずっとしてくれなかった点です。

ある程度、私に心の力がついてきたタイミングで、
徐々に徐々に私の代理母役から降りてくれたのです。

これには、本当に感謝しています。
あの時、カウンセラーが私の代理母を降りてくれたからこそ、
今の私が居ると言えますから。

私自身、クライアント様の側に、
ある程度、心の力がついてきたら、
少しずつ代理母役を降りるようにしています。

以上、参考になれば幸いです。

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