どうしても自分を許せない時、
過去の失敗や間違いに囚われ続けてしまう時、
そんな時って、どんな人にもあるのでは?
私も、そんな時が何度もありました。
今日は「自分を許せない」
そんな心境でいらっしゃる方に、
私が、おにぎりで有名な佐藤初女さんに
「どうやったら、自分を許せますか?」と質問して、
直接もらった答えを中心に、
その処方箋を伝えていきます。
この記事は音声でも聴けます。
よろしければ音声を聴きながら記事をお読みください。(2部構成)
どうやったら自分を許せますか?という問いに対する初女さんの答え
初めて、初女さんにお会いしたのは、
私がまだ大学生の頃、初女さんが出演されている
龍村仁監督の映画『ガイアシンフォニー第二番』の上映会に行った時でした。
上映会には龍村監督と初女さんもいらしていて、
上映会の後、ご挨拶や握手ができるという
今から考えたらゴーシャスでアットホームな上映会でした。
映画を観て感動し、涙が止まらなくなった私の手を、
初女さんは優しく包み込むように握ってくれました。
こうして、文章を書いていても、
初女さんの温かいふっくらした手のひらの感覚を思い出します。
それから、18年という年月が経ち、
2013年5月、『ガイアシンフォニー第二番』の上映後、
初女さんが参加者の質問に答えてくれるという会で
私は初女さんに再会できました。
長い話を短くすると、、、
質疑応答の部は、参加者が紙に、
初女さんへの質問やメッセージを書いて、
それに対して、初女さんが答えるという形式で、
私の質問にも、初女さんは答えてくれました。
その時の私の質問は、
「どうやったら、自分を許せますか?
どうやったら、自分を好きになれますか?」
という2つの文章だけでした。
これは、長年の私のテーマで、
このテーマに取り組み続けた結果、
今のセラピストとしての私がいる気がします。
この私の深くてシンプルな質問に
初女さんが、どう答えたか?を、
みんなにもお裾分けします。
以下が、その時、初女さんが、
私に言ってくれた言葉です。
これは、許すとか許さないとか言うこと自体から、
心を放してみたらどうですか?
頭で、どうやったら許せるだろう?
と考えるのでなくて、
手を使って(手作業をしてという意味)、
手の方に心をやったらどうでしょう。
そうすることで、
段々と問題がゆるくなってきますよ。
私、この言葉を聴いた瞬間、
涙が止まりませんでした。
その会での、初女さんの言葉に、
こんなものがありました。
言葉でなくて行動で示すこと。
言葉は便利だけど、
行動はもっと深いもの。
その意味が、初女さんの私の質問に対する答えから、
私の心と身体に、ふぅっと入った。
そんな感じでした。
自分を許すとか、自分を好きになるって、
頭でやること、考えることじゃないんだよ。
そのことについて、
もう考えなくていい。
考えるのをやめて、
手を動かしてみなさい。
手を動かすことで、
今ここに戻って、今ここを生きることができますよ。
今ここを生きることで、
あなたが問題だって思っていることがゆるんできますよ。
その時、私が初女さんから受け取ったものを
言葉にしてみると、こんな感じでしょうか。。。
自分を許せないという思いが強くなっている時、
人は過去に囚われ、過去を生きています。
その過去って、自分の頭の中にしかないんですよね。
頭の中の過去と言う牢獄。
自分で作り出した過去という名の牢獄に囚われて、
身動きできなくなっている。
今ここを生きることができなくなっている。
自分を許せないという思いに囚われているときって、
そんな風に言えるのでは?
私は初女さんのこの言葉から、
ネガティブな思考に囚われた時、
手を動かしてみる、身体を動かしてみる。
そのことで、今ここに戻り、
ネガティブな思考から離れる。
そんなことを教わった気がします。
自分を許せない時、家事を丁寧にしてみる
手を動かすことで、
私がお薦めしたいのが、
家事を丁寧にすること。
私自身も、心がけていることなのですが、
気持ちがネガティブな方に傾いて、
思考優位になっている時って、
大体は自分の世話がおろそかになっています。
部屋が散らかり、
食べるものは買ってきた出来合いのものばかり、、、
そんな状態の時が多いです。
家事を丁寧にすることは、
手を動かして、今ここに戻ってくることにもなるし、
自分で自分のお世話をすることにもなります。
『ガイアシンフォニー第二番』で
初女さんは、こんな風に仰っています。
手を合わせて祈るのは静の祈り
それによって動くのが動の祈り
だから、私のとっては生活そのものすべてが祈り
たくさんの人を癒したという初女さんのおにぎり。
初女さんのおにぎりを食べて
自殺を思いとどまった人もいるというほど。
どうして、そんなに初女さんのおにぎりが人を癒したのか?というと、
それは、初女さんのおにぎりが、
初女さんの祈りの結晶だったからではないでしょうか。
その人が、どんな心の状態で、おにぎりを握るのか?ということで、
おにぎり一つにも、これほどまでに力が宿るのですね。
初女さんが、特殊な能力を持った特別な人間だから、
こういうおにぎりを握ることができたというわけではなく、
すべての人間にこのような力が宿っていると思います。
祈りとは、自分が持つ心の力を、
意図的に、意識的に使う。
そういう行為なのかもしれません。
自分を許せない時は、手を動かす。
手を動かして、そのことから自分を放つ。
これも、人が持つ心の力を、
祈りの方向に使うということだと思います。
実は、この話には、後日談があります。
私は、それから2年後の2015年4月に、
再び、初女さんの講演会に参加しました。
この時も、2013年の講演会の時と同じく、
参加者が初女さんへの質問を紙に書き、
初女さんが、それを読んで答えていくという形式でした。
初女さんへの質問で、
「心の平穏を保つには、どうしたら良いでしょう?」
というような内容のものがあり、
初女さんは5回くらい、その文章を読んだ後、
「誰かこれに答えてくれる人はいますか?」と、
会場の人たちに向かって仰りました。
しばし続く沈黙。。。
私は緊張しながらも、意を決して、手を挙げ、
2013年に、私が初女さんへ質問して答えてもらった話を
会場の方々にシェアしたのです。
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以前、似たようなことを初女さんに質問したら、
こんなふうに言ってくださいました。
『そんなことに囚われた時は、
手を動かしたら、どうでしょう?
手を動かして、集中してご飯をつくるなどすれば
囚われている苦しみがゆるんで、
その問題から、心が放たれますよ、と。』
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初女さんは、その答えを聴いて、
「ありがとうございました」と
私に言ってくださいました。
後日、この時、会場に居た方が、インターネット上で、
この初女さんと私のやり取りについて、
こんな風に書いている文章に出会いました。
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不思議な光景だった。
かつて初女さんが助けた人が
初女さんと、いま悩んでる人を
初女さんの言葉で助け
それに初女さんが感謝している。
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私は、この文章を読み、
大げさに聞こえるかもしれないけど、
生きてて良かったなあ・・・って思ったんですよね。
私という人間を通じて、
初女さんの言葉が、初女さんの心が、
引いては初女さんの存在が伝わっていく。
私は、時間と空間をまたいで、
初女さんの言葉と存在を伝える繋ぎ人の役目ができた。
ああ、生きててよかったなあ。。。ってね。
初女さんは、この翌年2016年2月に亡くなられています。
享年94歳だったそうです。
初女さんは亡くなられたけど、私のこのエピソードのように、
たくさんの人を通じて、初女さんは生きている。
私はそんな風に感じています。
最後に
つながりの中にいることを思い出す
『自分を許せない』
この悩みへの処方箋の一つとして、
視野を広げて、自分以外にも、たくさんの人がいて、
一人一人が悩んだり、喜んだりしている。
その悩んだり喜んだりしている人たちのつながりの中に自分がいる。
そんな視点で、自分を見てみると、
ふっと気持ちがゆるむのかもしれないなあなんて思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
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